世界には数多くの国があり、それぞれの国で国歌として制定されている曲があったり、多くの国民に広く親しまれている曲があります。
この記事では、世界の有名な国家についてまとめています。
オリンピックやワールドカップなどスポーツの世界大会では、出場国や優勝国の国歌が演奏されることが多いですよね。
国歌の由来や、応援しているプレーヤーの国歌を知っておくことでプレイもより楽しめるかも……?
中国の国歌
中国国歌「義勇軍進行曲」
2004年以降、中華人民共和国憲法で国歌として正式に規定されました。
中華人民共和国国歌法で演奏に関する規則や国民の義務について定められています。
曲自体は1935年の中国映画『風雲児女』の主題歌として作曲されたものです。
映画の主題歌として作った曲が後々国歌になるとは……作曲者もさぞかしびっくりしたのではないでしょうか。
アメリカ合衆国の国歌
アメリカ合衆国国歌「星条旗」
1931年にアメリカ合衆国の国歌として正式に採用されました。
元々は米英戦争さなかの1814年に書かれた詩を、当時人気のあった酒飲み歌「天国のアナクレオンへ」のメロディに合わせてアレンジしたものでした。
南北戦争中に人気を博し、1890年ごろまでに軍隊の儀式において採用され、国旗の掲揚・降納時に演奏することが義務づけられていました。
なんか替え歌みたいな成り立ちなんですね……。
フランスの国歌
フランス国歌「ラ・マルセイエーズ」または「マルセイユの歌」
元はフランス革命の際の革命歌で、マルセイユの連盟兵(義勇兵)が隊歌として歌ったことにより広まりました。
フランス革命政府がオーストリアへ宣戦布告したという知らせが届いた1792年4月25日から翌26日の夜にかけ、出征する部隊を鼓舞するために、市長の要望で一夜にして作詞作曲されたといわれています。
革命のイメージが強すぎたこともあり、公の場での演奏が禁止されたり解禁されたりと紆余曲折ありましたが、これ以上に国民に人気と知名度がある歌がなかったことにより1879年に国歌として制定され、現在に至ります。
オーストラリアの国歌
オーストラリア国歌「アドヴァンス・オーストラリア・フェア」
1878年に創られ、初演間もなく人気を博しました。
国歌に認定されるまでにも第二次世界大戦時のニュースや公の行事の開始、終了時に演奏されました。
1977年の国民投票で他の候補曲を上回り、1984年に国歌に決定されました。
作曲当初から人気がある曲、国歌として決定されるのも当然という感じがしますね。
イギリスの国歌
イギリス国歌「国王陛下万歳」または「神よ国王を守り給え」
一般に国歌として広く認知されていますが、実はイギリスにおいては法律で国歌は制定されていません。
連合王国の構成国であるウェールズや北アイルランド、スコットランドには独自の国歌があります。
イギリスの君主が女王の際は「女王陛下万歳」または「神よ女王を守り給え」となり、君主が国王(King:男性)か女王(Queen:女性)かによって、歌詞中のKingとQueen、him/hisやherが切り替わるという、他の国歌と大きく異なる特徴を持っています。
エリザベス女王の在位期間は「Queen」だったわけですね。
韓国の国歌
韓国国歌「愛国歌」
歌詞は1896年ごろ、曲は1935年ごろに作曲されています。
国歌に採用されたのは1948年です。
元々はスコットランド民謡(日本では「蛍の光」)のメロディーで歌われていましたが、管弦楽曲「韓国幻想曲」の終曲のメロディーに乗せたものが採用されています。
ちなみに北朝鮮の国歌も「愛国歌」という名前ですが、歌詞もメロディーも全く異なります。
イタリアの国歌
イタリア国歌「マメーリの賛歌」または「イタリア人達の唱歌」
「イタリアの同胞(イタリアのどうほう)」もしくは「イタリアの兄弟」とも称されています。
マメーリとは作詞者のお名前ですね。
編曲はイタリアを代表するオペラ王・ジュゼッペ・ヴェルディによるものです。
1946年のイタリア共和国成立後、約70年にわたり国歌は決められていませんでしたが、2017年法律で国歌と定められました。
思いの外最近ですね……!
なお、第二の国歌として、ヴェルディ作曲の歌劇「ナブッコ」より第3幕の合唱「行け、我が想いよ、黄金の翼に乗って」が知られています。
こちらはオペラ・ガラコンサートなどで取り上げられることも多いですね。
オランダの国歌
オランダ国歌「ヴィルヘルムス・ファン・ナッソウエ」
ヴィルヘルムス・ファン・ナッソウエとは、八十年戦争の指導者で現オランダ王家オラニエ=ナッサウ家の始祖でもあるオラニエ公ウィレム1世のことです。
旋律は世界の国歌のうちで最も古く、1569年頃によく歌われていたフランスの従軍歌が元といわれています。
歌詞は全部で15番までありますが、現在歌われるのは1番と6番のみです。
全ての歌詞を歌える方はいらっしゃるのでしょうか……?
カナダの国歌
カナダ国歌「オー・カナダ」
1880年に建国記念日の式典に向け愛国歌として作詞作曲されました。
当時はフランス語の歌詞のみで、1908年に現行の英語の歌詞の元となるものが書かれました。
1980年に「カナダの日」の祝典に際し、国歌として法制化されました。
英語の歌詞に含まれる一部の表現が男性のみを指しており、男女差別的だという意見があったようです。
フランス語の歌詞では性別に中立な歌詞であったこともあり、2018年に歌詞を改める法案が可決されました。
ドイツの国歌
ドイツ国家「ドイツの歌」または「ドイツ人の歌」
ハイドンが1797年に神聖ローマ皇帝フランツ2世に捧げた「神よ、皇帝フランツを守り給え」(後に弦楽四重奏曲『皇帝』第2楽章の主題に用いられる)のメロディーに詩が付けられたものです。
クラシック界における大作曲家を多数輩出しているドイツ、国歌はハイドン作曲のメロディーなんですね……さすがと思ってしまいました。
第二次世界大戦敗戦による連合軍のドイツ占領を経て、1949年に設立されたドイツ連邦共和国ならびに1990年のドイツ民主共和国統合時に3番のみを公式とすることが確定されました。
1・2番の歌詞がカットされたのはドイツの歴史的な背景などを理由にするものですね。
ただし、現在でもドイツでは国歌に関する正規な法律は制定されていません。
番外編:日本の国歌
日本国歌「君が代」
歌詞は10世紀初頭における最初の勅撰和歌集である『古今和歌集』の「読人知らず」の和歌が初出とされ、世界の国歌の中で作詞が最も古く、また歌詞が最も短いといわれています。
曲は1869年に軍楽隊教官が練習生を介して作曲を申し出たものが始まりとされており、1880年には事実上の国歌として採用されました。
法制化されたのは1999年の「国旗及び国歌に関する法律」によります。
歴史がある曲だとは思っていましたが、作詞は世界最古なんですね……!
その割に国歌として法制化されたのは意外と最近のことでこれまた驚きです。
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